恋せよ乙女
ゾクッとするような、体中を走る悪寒で目が覚めた。どうやらいつの間にか寝てしまっていたようで、ぼんやりとした視界がさっきと変わらない状況を映し出す。
どれくらい時間が経っているのか、とか、今が何時なのか、とか、そんなのは丸っきりわからないけれど。
座っていたお尻が痛いことから、相当時間が経っているのだろうと推測した。
それにしても。
どうして、誰も探してくれないの。
誰も来てくれないの。
閉ざされた空間、纏わり付く闇に、そろそろあたしも限界だった。
既に冷たくなっていた両手からこれ以上熱が逃げないように、ぎゅっと固く握りしめる。再び襲い掛かってきた心細さに堪えるように、そっと目を閉じた。
――刹那、
「…――ん、…――おん!」
微かに、でも確かに聞こえた誰かの声。
ドアに耳をつけ、聞き漏らさまいとして耳を傾ければ、
「――んだよっ!紫音!」
それがあたしを探す声だと悟り、緊張の糸がプツリと切れた。