恋せよ乙女
そして、一向に電話に出ないあたしに業を煮やしたのか、最後には一通のメールを受信していて。
“紫音と、話がしたい。”
たったそれだけの短い文章に、ズキンと胸が痛んだ。
会いたくて、抱きしめてほしくて。
胸ははち切れそうなのに。
氷室さんを思い出すと同時に、頭をよぎる鈴木さん。頭を振って必死に追い払おうとしてみても、余計虚しくなるだけ。
いっそのこと、全て忘れてしまえたら――…
氷室さんのことも。
鈴木さんのことも。
あたしが氷室さんを好きだという、その想いさえも。
そうしたら少しラクになるんじゃないかと考え、そんなことまで考え始めた自分自身を自嘲した。