恋せよ乙女
「…ありがと、世奈。」
「お礼なんていいって。……ほら、早く行ってきな。」
「うん。」
いつものような笑顔を向けてくれた世奈に背を押されるように、来た道をひたすら走る。
そして、駅前のバス停で丁度良く停車した学校方面行きのバスに、勢い良く乗り込んだ。
来たときとは比べようが無いほど空いている車内。空席はたくさんあったけれど、気持ちが急いているせいか落ち着かなくて、出口に近いところに立ったままバスに揺られた。
目的のバス停でバスを飛び降りると、学校までとにかく走る。一分でも早く、一秒たりとも無駄にしないように。
途中、すれ違う生徒達が好奇の視線を向けてきたけれど、何一つ気にならなかった。
玄関に入る間際、ふと見上げた校舎の時計を見れば、時刻はもうすぐ15時で。この時間なら、きっとまだ生徒会室にいる。
そんな確信を持ったあたしは、ほとんど人が居なくなってやけに静かになっていた校内、息切れを気にすることもなく、ただ中央階段を駆け上がった。