恋せよ乙女
「その子はさ、端的に言えばポジティブなんだ、何に対しても。
明るくて、いつも笑顔で。傍に居る僕まで同じ気持ちにさせるような。とにかく僕の調子を狂わせられて、毎日大変だった。」
―――大変だった。
そう言う割には、懐かしむように、幸せそうに。一つ一つの思い出を噛み締めるように会長は言葉を紡ぐ。
その穏やかな表情に、その女の子は会長にとって特別な存在だったのだと容易に想像でき、何故か胸が苦しくなった。
“あたしが会長と付き合っていた”
その事実を踏まえれば、そう感じるのは当たり前なのだろうけれど。
聞いて確かめるまでも無くそれを確信し、心の中で自嘲した。