恋せよ乙女
「別れないよ。第一、それを鈴木さんがあたしに強制する権利なんて無い。」
だから立ち上がり、そう強く言い放つとともに鈴木さんの瞳を見つめる。大きい二重の瞳が睨むように細められるのを見ながら、あたしは続けた。
「それに、例えあたしが別れたとして、氷室さんが鈴木さんを好きになる訳じゃないでしょ。」
結局は氷室さんしだい。
あたし達がどうのこうのしたところで、別段何も変わらないのだ。
「だからあたしは、別れない。」
毎日毎日しつこいほどにアタックして、せっかく掴んだ彼の心を、あたしから手放すようなことは絶対にしない。
鈴木さんを見据えたまま、一語一語噛み締めるようにそう言えば、細められていた彼女の瞳はまた、大きく見開かれた。