恋せよ乙女
「そろそろ暗くなるし、せっかくだから加藤隼人と一緒に帰りな…」
「い い え。やっぱりもう少し、氷室さんにあたしの愛の押し付けしてくー。」
氷室さんの言葉を遮るように隼人にそう言えば、眉間にしわを寄せる氷室さんと、呆れたように笑う隼人。
「ははっ。紫音らしい。」
「でしょー?」
「んじゃ、気が済んだら気をつけて帰ってこいよ。」
優しく笑う隼人に、あたしもにっこりほほえみ返す。そして隼人が玄関のドアに手をかけたとき、氷室さんが慌てたように声を上げた。
「って、ちょっと待って加藤…、どうせ家が隣なんだからつれて帰りなよ!」
「いや、だって、紫音が氷室といたいって言ってるし。」
そうだよ氷室さん。
あたしはまだ氷室さんといたい。
隼人は、あたしの恋の味方なんだよ。