‡キミ想い‡
黒の浴衣。
桜が描かれている巾着。
2つに結んだ髪。
少しお洒落しようと、付けてみたイヤリング。
せっかく来たのに、会えなかったら……なんて。
本当私はどうしたのだろう。
「そろそろ行かね??」
「そだねっ…」
寂しいとか思ってない。
そう言えば嘘になるかもしれない。
この気持ちは、なんなんだろう……。
再び歩き出した、その時……。
『あっ…!!』
…………。
………いた。
会っちゃった。
一瞬、胸が高鳴ったのは気のせいだろう。
なによりも嬉しくて、目があって擦れ違っただけだけど……。
来て、よかったって思えた。
「どうかした??」
真央里は裕がいたことに気付いてなかったらしく、私は慌てて笑って見せた。
「な、なんでもない!!」
「ふーん??ま、いけどー」
裕がいた、何て言ったら、きっと真央里はもっと騒ぐだろう。
多分、「埴輪とどうかしたか!!」
とか、なんかいろいろと聞かれそうで…。
応援団で裕に付いたあだ名。
それが“埴輪”…。
理由は、踊りを覚える際、それを真央里が棒人間で描いていたら、たまたま埴輪みたいな絵になってしまい、それを裕が真似したから。
……とりあえず、一度でも会えてよかったって思った。