恋する受験生
「来週、見てもいいの?」
「友達との話題にも困るだろうし、あまり厳しくして紗江がいじわるな子になったら嫌だから。紗江はわがままも言うけど、いつも優しいから」
私、誤解してた。
ぜいたくな悩みだったんだ。
「勉強頑張るから。受験も頑張る!!ちゃんと高校にも行くから、信じてね」
最近、こんな発言したことなかったな。
ストレスたまってたのかな。
親の顔も真っ直ぐに見たことがなかった。
俊に出会ったことで、全てがいい方向に向いていく気がする。
「来週、いつでもいいから1時間だけ出かけていい?」
「どこに行くんだ?」
「あの名門のK高校の人が勉強見てくれるって。いい?」
お父さんは、お母さんの方を見て、少し悩んだ顔をした。
「お母さんと相談しておくよ。お前には、お姉ちゃんがいないから、年上の人に話を聞いてもらうっていうのも悪くないだろうしな」
あ、お父さん、女の人だと思ってる。
ま、いっか。
バレないし。
俊は、全然危険じゃないもん。
優しい優しい私の大好きな俊。