恋する受験生
「私のこと…… ちょっとは好き?」
もっとロマンチックな聞き方ができればいいのに。
単刀直入すぎて、恥ずかしくなる。
俊は座っていた座布団の上に鞄を置いて、大きく深呼吸をした。
「どう答えたらいいのかわかんねぇな」
サラサラの髪を触る。
かきあげるってわけでもなく、ちょっと触れる程度。
その仕草がたまらなくかっこいい。
「お前と付き合うことは考えてない。ただ、見守りたいなって気持ちはある」
「彼女いるの?」
嬉しいような悲しいような俊の返事に、すかさず聞く。
彼女がいるような気がする。
「保留中の女の子はいるけど…… 付き合ってる子はいないよ。俺はあんまりそういうのが好きじゃないというか、得意じゃないから面倒になってしまう」
得意なように見えるよ。
俊は女の子の気持ちを掴むのがうまいし、優しいし、気が利くし、完璧な彼氏になれそうなのに。