恋する受験生
「自慢じゃないけど、俺はまあまあモテる。でも、今みたいな告白されたことないから。素直に嬉しい!!」
俊は、両親の愛をあまり感じていないと話してくれたことがあった。
きっと、俊はうちの親みたいな口うるさい親に憧れているんだ。
勉強しなさいとか、早く帰って来なさいって言ってくれる親が俊にはいない。
「で~もぉ~ 受験生だから、俺へのその気持ちは合格するまでここにしまっとけ!」
俊は“ここに”って言いながら自分の胸に手を当てた。
にっこり笑って。
「やっぱり、受験生は恋しちゃいけないの?」
「そういうわけじゃないけど…… もう少しだから我慢できない?」
すごく優しい表情で、私を見つめる。
勘違いしちゃうよ。
俊。
恋のことをまだ何も知らない中学3年の紗江は、その笑顔の意味を勘違いしてしまいそうだよ。
俊。
私のこと、どう思ってる?