恋する受験生



私は、担任の背中に、机の上にあった教科書を投げつけた。




教室を飛び出した。



名前を呼ぶ声も無視して。


友達が引き止めるのも無視して。






大人はやっぱりわかってない。





私達は、いっぱいいっぱいなんだ。


受験とか、テストとか、偏差値とか、塾とか。



いろんなものが心の中に入ってきて、満員電車の中みたいにぎゅうぎゅうなんだ。



その中で、必死で自分を見失わないように頑張ってる。



どうして勉強するんだろうとか、

どうしていい高校に行かなきゃいけないんだろうとか、

どうして楽しいことしちゃいけないんだろうとか……



いろんな不満がいっぱいあるのに、それを自分なりに消化して生きてるんだよ。





私は、俊というオアシスを見つけた。


だから、救われた。




俊がいなければ、私はどうなっていたかわからない。


もう高校になんか行かないって思っていたかもしれない。




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