恋する受験生
「みんなで合格しなきゃいけないから?」
私は、列からはみ出た机を元の位置に戻しながら、担任をにらむ。
「そうだ。このクラス全員で合格するんだ」
悪気がないのはわかる。
全員で合格したいのは私も同じ。
俊も言ってたもんね。
私達のことを思ってくれているからこそ、うるさく言うんだって。
それはわかる。
わかるけど……
「期末テストの結果が気になっていたんだが…… まさかカンニングなんかしてないだろうな」
プチ
またキレた音がした。
頑張ったんだぁ、私。
俊に話を聞いてもらって、受験から逃げないって決めたんだぁ。
毎晩、英語の単語を20個覚えてから眠ってるんだよ。
朝目覚めたら、枕の横に置いてあるノートに前の晩覚えた単語を書いてるんだ……
私、頑張った。
頑張ってる。
だから、結果が出た。
それだけ。
なのに、
カンニング?
カンニングしたと思ってたの?