恋する受験生
またあのぬいぐるみがあった。
俊が取ってくれたピンクのうさぎちゃん。
この前来た時は、違う種類のぬいぐるみだったのに。
結局、俊はあの女子高生にぬいぐるみをあげたんだろうか。
「それ、欲しいの?」
大音量の中にいても、聞こえた声。
振り向く前にわかる。
俊の声。
振り向いた。
2週間ぶりの俊の笑顔。
首に巻かれた手編み風マフラー。
寒さのせいか、顔がほんのり赤い。
俊の友達は、違うゲーム機の前で騒いでいた。
「俊…… 俊にどうしても会いたくて、ここに来た」
「この不良娘が! また家出したのか?」
優しく、コツンって私の頭を叩く。
今すぐ、俊の胸に飛び込んで、大声で泣きたかった。
やっぱり俊が好き。
俊じゃないとだめ。