恋する受験生
家までは後200メートルくらい。
この場所から家まで、小さい頃はよく徒競走の練習をしたっけ。
「俺、お前に彼氏でもできたのかなって…… 誤解してた」
しゃがんだ俊が私を見上げる。
年上だけど、今、かわいいって思っちゃった。
口元まで巻いたマフラー。
サラサラの髪。
切れ長の目。
「ショックだった?」
ちょっと生意気なことを言ってみる。
「ば~か」
立ち上がった俊が……
私を抱きしめた。
嘘!?
嘘でしょ~?
夢じゃない?