切恋~First Love~
「・・・お前、全部借り物って・・・へぼいな」
呆れてるのかバカにしてるのか、何にしても神崎涼は笑った。
・・・・・・笑った!
一瞬、目を見開いた。
神崎涼があたしの言ったことに反応してくれて、嬉しくて。
調子に乗って、話を続けた。
「うるさいなぁっ!アンタだって全部リレーって、どんだけ自信家なの」
「なめてんじゃねぇよ。俺、こう見えても中学時代は男バスの神様って呼ばれてたんだぜ?」
男バスの神様!?
あたしに限らず、尾崎君や佳耶、流菜ちゃんも思わず吹き出した。
「ふーん、そっかぁ。へーえ、ふーん」
神崎涼の自慢話に、わざと素っ気無い態度を取る。
「・・・てめぇ、ぶっ飛ばすぞ」
「いや、遠慮しとくよー」
「お前らコントやってんのかっつうの」
延々と続きそうなあたし達の会話を遮ったのは、誰でもない尾崎君。
「南美、神崎とコンビ結成したら?」
佳耶も笑いながら神崎涼とあたしを指差した。
佳耶を見た瞬間、罪悪感が押し寄せる。
今のわずかな、ほんの少しの時間が堪らなく楽しかった。
・・・佳耶、ごめん。
・・・でもいいよね、少し話すくらい。
自分の中で変な言い訳をつくる。
そんなことしたって、あたしの中の醜い心が消えるわけないのに。
ドロドロした気持ちが隠れるはずもないのに。
逆にそういうことをすることで、どんどん大きくなってきてしまうのに。