切恋~First Love~
この神崎涼との時間が、凄く好き。
心臓がドキドキと跳ねて、声も震えそうになるけど好きなんだ。
・・・ううん、だから・・・・・・好きなんだ。
「南美ーっ!」
佳耶の声がした。
自己の世界から現実の世界へと引き戻される。
佳耶と流菜ちゃんが、いつの間にかあたしの席の目に前にいた。
「この前言ってたグミ持ってきたよ」
・・・この前のグミ・・・?
「ああっ、アレか!」
この間の帰り道に『食べ心地がナタデココみたいでうまい』と、佳耶にオススメされてたグミ。
その時は結局、あたしも佳耶もお金がなくて買えなかったんだ。
「まさか忘れてた?あたしイチゴもレモンもマスカットも買ってきたのに」
「え、ううん!忘れてない、忘れてない」
「・・・本当に?」
佳耶が疑いの眼差しをあたしに向ける。
・・・・・・すみません、嘘です。
「・・・うん、本気。本気と書いてマジだから」
「ふーん、まぁいいけど。南美、どれがいい?あ、流菜ちゃんもあげる」
「ありがとーっ」
佳耶は袋をあたし達に見せた。
佳耶がグミをあげようとしたのは、あたしと流菜ちゃんなのに。
「俺にもちょうだい」
何でこの男が話に入ってくるかな・・・。