切恋~First Love~
今1番、この場にいて欲しくなかった奴。
・・・そう思うあたしは、本当にどれだけ性格が悪いんだろう。
「うん、いいよ。男だから1個だけね」
佳耶は快くオッケーした。
そんな当たり前の佳耶の態度を見て、心の中に薄黒い霧のようなものができるのを感じる。
「はあ?男女差別反対」
「じゃあ、全部1個ずつならいいよ」
「それでこそ、倉橋佳耶」
「意味が分からない・・・」
そして、佳耶と仲良さそうに話す神崎涼を見て、更に霧が濃くなる。
2人を直視できない。
見ることができない、見たくない。
「南美ちゃん、どうしたの?下向いて・・・気分悪い?」
流菜ちゃんがうつむくあたしに、心配そうに声をかける。
「・・・ううん、違う。大丈夫」
そんなのじゃない。
もう、自分が嫌なんだ。
佳耶のことを応援するって軽く言っておいて。
今はその佳耶の恋から目を背けてる。
今のあたしは絶対に醜い顔をしてる。
今、佳耶と神崎涼を見ちゃうと、もっとダメになっちゃう。
そんなあたしを、流菜ちゃんに・・・佳耶に・・・神崎涼に・・・・・・。
どうしても、見せたくないの。