アナタしか欲しくない
ハラハラと涙が溢れてくる。





涙のせいなのかタカちゃんの顔が酷く歪んで見えた。




『ミイ…』
「なら、どうしてーーッ」




それなら、どうして……






「どうしてはっきり言ってくれなかったの!

“大人になってから”なんていうからっ。ーッ。だから期待してーっ。だからミイはーっ」







大人になったらタカちゃんと。





それだけを糧に、16歳になる今度のイブを、気が遠くなるくらいずっとずっと待ち望んでいたのにーー…








「……ウソつき」





『ミイ…』






「タカちゃんのウソつきっ!!!」






『ミイっ!』






立ち上がると同時に目の前にあった手を思いきり払い除けて、家の中へと飛び込んだ。






部屋に入ってペタンと座り込む。




「…ック。うぅっ………」




大人になるまでもなかったんだ。




涙が止まらない。





「…ふっ……っく…」





大人になるまでもなく、ずっとミイはタカちゃんにとって“対象外”でしかなかった。





「…タ…カちゃんの…ウソつき…!!」






涙は止まることを忘れたみたいに溢れ続けて、声が枯れるまでひたすら泣き続けた。





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