レクイエム
その一連の動作は一瞬で、かつ洗練されていた。市民は意外な結末にぽかんと口を開く。


「眠くて力のセーブ出来なかった…まぁいっか」


地面に伸びてしまった男を眺めながら先程の反省点を挙げると、また歩き始めようとした、その時。


「あ、あの!ありがとうございます」


背後から男に絡まれていた女性が駆け付けた。


「嬢ちゃん強ぇーなぁ!」

「格好良かったぜ!」

「すげーなおい!」


女性に吊られるようにして、先程の成り行きを眺めていた街人達もナキに群がる。


「ちょ、え、何!?」

「気分良かったぜ!これ持っていけ!」

「私からもこれを…!」

「じゃあ俺はこれをやろう!」


ナキの行動に感動した者達がフルーツやらアクセサリーやら粗品を押し付けていく。
人だかりが引いたと思った頃にはナキの荷物は両手でも持ちきれない程になっていたのだった…。
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