レクイエム
日も傾き始めた夕暮れ時の事。
昼食をとってから3人は思い思いに過ごしていた。クレンスがまだ動くのが辛そうなので、もう一泊するつもりだった。
ナキは窓際で頬杖をついて海を眺めていた。水平線に沈みつつある太陽が海を照らし、きらきらと輝いて美しい。

街が襲われ復興作業中のせいもあり、港を出入りする船は事件前に比べ少ない。ぼんやりと入港を果たす船を眺めていると、見覚えのある船が移った。


「アスピディスク号だ…」


マストにあのリヴァーズのシンボルの盾の帆はなく、潜入用の白いものであったが形は乗り慣れたあの船だった。
頭と右腕が揃って連絡なしにアジトに帰らなかったから、皆心配して言い付けを破って街に出て来たのだろう。


「あいつら…」

「あれがお前の船か?」

「うん」


アレスが隣に立ち彼女と同じ方角を眺め、彼女の船と思われる物に目星をつける。


「お頭…仲間達が来たんですかい?」

「うん…」


予想より早く決断の時が来てしまいそうだ。苦しげな表情を隠せないまま眺めている間に、仲間達は上陸していく。
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