レクイエム
「何だ、涎でも垂らしたか」

「んな訳ないでしょ!」


クーラの鉄拳はアレスに簡単にかわされてしまい、怒りは不完全燃焼で終わった。
ずっと起きていたのだろうか。アレスの剣が地面に突き刺さっており、何かあったのかと心配になる。


「お腹減ったわ」

「知らん」


とりあえず剣には触れない事にしたクーラは上半身を起こし、空腹を訴えた。


「ご飯は?」

「こんな何もない街道にあるはずがない」


うぅ…とクーラが唸る。朝昼晩の最低3食はきっちり食べなければお腹が減って力が出ない。

確かこの街道は一定区間ごとに休憩所がある。もしかしたらそこなら食事を取れるかもしれない。


「ここで腹ごしらえ出来ないなら早く次の休憩所目指そう」



あまりお腹が空くとイライラしてしまう。早々に出発する用意を済ませる。
それにしても魔族は食糧を得なくても生きていけるそうだが、お腹は減らないのだろうか。クーラ自身も魔族らしいが、普通の人間と同じように腹が減るのだ。
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