レクイエム
街道の脇にある雑木林。そこで何者かが息を潜め、気配を殺している。

漆黒のローブに身を包み、深くフードを被っている為その表情は伺いしれない。


「まさかあのアレスと接触しているとはな…」


軽くフードを上げながら面倒くさい事になったと男が呟いた。
クーラ達がいるであろう方向を、紅い瞳がギラギラと凝視していた。



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──早朝。
辺りは若干霧が掛かって遠方は見えづらい。
肌寒い気温まで下がり込み、湿度が更に体感温度を下げていた。


「…寒……」


暖を取る物は何もなく、クーラはアレスのマント1つで夜を明かす事になってしまった。丸まって寝ていたので関節があちこち痛む。
しかし彼のマントは不思議だ。こんなに薄くて軽いのに、非常に暖かい。一体どんな素材を使っているのだろう。不思議に思ったクーラが肌触りを確認する為さわさわとマントを探る。
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