レクイエム
「どうしたの?」

「……」


彼は答えない。寝ぼけているだけなのだろうか。
ずっと扉の方を見ているだけ。その様子が引っかかって、クーラも念のため起き上がる。

まさか魔族が接近しているのだろうか。


「クー姉様…起きていらっしゃいますか?」

「…セフィア?」

扉の向こうから聞こえてきた少女の声。こんな早朝からどうしたのだろう。
まさかアレスは彼女の接近に気付いて目を覚ましたのか。扉の向こうに佇むのが彼女だと分かった途端、またソファに身を投げ出した。


「起きてるよ、入りなよ」

「失礼します…」


そっと扉が開き、滑り込むようにセフィアが部屋に入る。
後ろ手に彼女は扉を閉め、施錠した。よそよそしい態度が気になる。


「クー姉様…これからどこに旅立たれるおつもりなのですか」

「えっと…どこって…」

「どこを目指すのですか?」


どこか切羽詰まったような表情。
いつもおっとりとしたセフィアがこんなに余裕がないのは珍しい。
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