かんけりっ!

伝説との出会い。




★ ★ ★


『彼女』、桃東 雷が初めて缶蹴りを知ったのは中学生二年の頃だった。


その頃の『彼女』の中の缶蹴りのイメージと言えば、小学生位の子供。それも男子のやる遊びとしか思っておらず、それは間違いではなかった。


けれどその固定観念は、突然の出会いによってあっさりと音を立てて崩れる事になった。


それは『彼女』の中二の夏。


陸上部だった『彼女』は中総体も終わり目標を秋の記録会に向け、夏休みの間も照りつける太陽の下で走りつづけていた。


ある日の部活の帰り。『彼女』は声を聞いた。


不思議な声だった。


「うるぬぐれはかたなやさはぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


理解不能な絶叫にも似た声。


何事!?


と、『彼女』は「もしかしたら誰かが襲われてるのかもしれない」


そう思った瞬間。体は勝手に声のするほうへ向かっていた。


< 170 / 358 >

この作品をシェア

pagetop