みずいろ
伝えるつもりだったのに・・・・
お願い、そんな悲しい顔をしないで。
ねぇ、どうしたらいいの?
俺、どうしたらいいの?
なのに、口から出る言葉は、真逆の言葉ばかりで。
彼女は、まっすぐに俺の目を見て言ってくれたんだ。
「ムリしないで。追い込まないで」
彼女の声は目を閉じた俺の心の中にずしん、と深く響いていく。
やっぱり、いつのまにかこんなに大きくなってたんだよ。
キミの存在が。
キミへの想いが。
俺のなくした過去が、キミだったらいいのに。
なくしたものがすべてキミだったらよかったのに。
「悠司くんバイバイ」
せめて最後はいつもどおり何もなかったようにバイバイさせて。
手を振って見せたあと静かに閉まった扉の音に。
俺は唇をかんで、肩を震わせた。
バイバイ、なんて。
聞きたくない。
言いたくなかった。