みずいろ

伝えるつもりだったのに・・・・



お願い、そんな悲しい顔をしないで。



ねぇ、どうしたらいいの?



俺、どうしたらいいの?



なのに、口から出る言葉は、真逆の言葉ばかりで。



彼女は、まっすぐに俺の目を見て言ってくれたんだ。



「ムリしないで。追い込まないで」



彼女の声は目を閉じた俺の心の中にずしん、と深く響いていく。



やっぱり、いつのまにかこんなに大きくなってたんだよ。


キミの存在が。


キミへの想いが。



俺のなくした過去が、キミだったらいいのに。


なくしたものがすべてキミだったらよかったのに。




「悠司くんバイバイ」



せめて最後はいつもどおり何もなかったようにバイバイさせて。


手を振って見せたあと静かに閉まった扉の音に。


俺は唇をかんで、肩を震わせた。



バイバイ、なんて。


聞きたくない。


言いたくなかった。



< 24 / 81 >

この作品をシェア

pagetop