みずいろ
………
「ねぇ…カホ、って誰?前カノ?」
「はぁ?」
シャワーを浴びて部屋に戻ると、ガウンをはおってベッドにこしかけたみぃに聞かれた。
「……知らね。そんな名前」
本当は心の中で一瞬跳ねかけた心臓を抑えて缶ビールを開けた。
「ふぅーん……」
みぃはそんな俺の肩に手を置いて少しにやっ、と笑った。
……なんか……下品な笑いを時々するよな、この女。
ま、俺も人のこといえた義理じゃないけど。
みぃは、聞かれてもないのに、ごくりとビールを流し込む俺の首元に軽く口元をあててつぶやいた。
「最近……寝ながらうなされてる。よく呼んでるよ?その名前…」
「知らねー、つってんだろーが」
「フフフ……どーでもいいけどね。もしかしたら、最近シテくれないのってそのせいかな、なんて……ね?」