夜  話  
少し甘味を強くしたミントティーをいれたマグカップを窓辺へと運んで、わたしは頬杖をつきながら刻々と色を変えゆく空を眺めていました。


太陽の光の最後のひとかけらが沈んでしまうまでは見事なまでな薔薇色に染まっていた西の空も、今はもう薄青色と濃灰色と橙色のグラデーションが美しい雲を彩りに、透明な藍色にその姿を染め変えていました。


空の色だけは。


毎日同じように見ていたとしても、決して同じ色を見せてはくれません。


それはまるで、2度と同じ風景を見ることは叶わないのだから、この刹那、刹那のこの光景を見逃してはならないのだという、自然からの警告のようにも受け取れるのでした。
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