夜  話  
音もなく降り注ぐ月の光を、なんとなく掌に受けながら、わたしは窓辺に寄り掛かって窓の外に広がる風景を眺めていました。


透明に澄み渡った空気のなかに、たなびく雲は紺色の影をまとい。


夜空に秋の気配を見事なまでに演出していました。


すうっと深く呼吸をすると、わたしの中に季節の味がしみこむようで。


わたしはそんな感覚を楽しみながら、今吹きすぎた風は一体どこまで大地をめぐるのだろうかと、想いを馳せていました。
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