夜  話  
「物思いにふける秋、って感じか?」


突然、涼やかな声が聞こえたかと思うと、皎の変わらぬ麗しい姿がわたしの目の前に現われました。


「相変わらず、突然に現われるのね。」


驚きを隠さないままに、わたしは皎に顔を向け自然と湧いて出る笑みを、そのまま表情にのせました。


「驚かせたか?」


ちっとも悪びれる事無く、皎は確信犯的な笑みを浮かべて、わたしに尋ねます。


けれど、そこには驚かしてやろうという気配が、目に見えるぐらいに濃厚に漂っていました。
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