夜  話  
だが、それきり身じろぎもせずに何を見つめているという風でもなく。


ただ空を見上げている。


確かに俺を見たはずなのに、それについても反応はなく。


「変な女。」


つい、口に出した俺の言葉に、女は初めて口を開いた。


「ただ、現れるだけで何もせずにつっ立っているだけの物怪に言われたくもないね。」


冷たく投げ付けられた言葉に、俺は思わずニヤリとしていた。


「気付いてるし、見えてるのに、この俺を無視していられるなんて、面白い女だな。」
< 180 / 414 >

この作品をシェア

pagetop