夜  話  
「それは貴方が深衣さんに伝えた言葉への、返答だったのね。」


それを確かめたくて、わたしは皎にそう尋ねました。


すううっと、糸を手繰り寄せるように遠い場所に彷徨わせていた心を、わたしの隣へと戻した皎は2、3度目を瞬かせると、微苦笑を浮かべました。


「本当に聡いな。
あぁ。
俺は深衣に、言の端を残したよ。
『そんな男なんてお前が惚れる価値もない』
……ってな。
あいつが男を待っていた、松の木の幹に残しておいたんだ。」


あぁ。


やはり、そうなのでした。


皎はそういう優しさの表現をする人物なのでした。
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