夜  話  
少し落ち着いただけで、そのまま眠りの世界に吸い込まれて行ってしまいそうな、そんな気持ちなのです。


「新しい病気かしら?」


なまけもの病という名の。


そんな、やくたいもない事を考えてクスリと小さく笑いながら、どれほど黄金色の世界に酔いしれていていたでしょうか。





ふと、わたしはある事に気が付きました。



いままでなら、もうとっくに皎が来ている頃合いだというのに。



彼の美麗な姿は、まだ。


まだ今夜は、この窓辺に現われてはいないのでした。
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