夜  話  
「私はそれを冷たくて、淋しくて、哀しい事なのだと思っていたのだけれど。」


違ったのよ、と言いエンは自分の手を俺の手に重ねた。


「白はね。とても優しく、全てを包み込んで見守っていてくれる、強くて暖かい素敵な色だったの。

大好きだったわ。

初めて見たときから。

貴方以外に愛した人なんていなかった。

属する世界が違うのだと、知ってはいたけれど、それでも愛していたわ。

私のコウ………。」


俺の手を握りながらエンはそう告げ、この世での生を終えた。


そうして。


それを見届けたのは、俺ひとりだった。
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