夜  話  
「他のどんなことにも手がつけられない程に、ずっと。
貴方を待ちながら考えていたの。」


そうして、わたしは決意を逃さぬために手を握りしめ。


「だから、聞かせて。
貴方の話を。
貴方が誰なのか。
皎という、その名前を。
………誰にもらったのかを。
約束の最後のお話として、わたしに話して欲しいの。」


そうなのでした。


皎と一番始めに交わした約束は、全部で十のお話という約束でした。


それはもう、10ヵ月ほど前に月の光を返す条件として皎と交わした約束です。
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