夜  話  
気付けば、月はあの日のように、豊かな光を惜しみなく地上に降り注いでいました。


きらきらとした粒子を内包した、月の光がわたしの体に降り積もるかのような、錯覚に襲われて、わたしは瞳を閉ざしました。


視界を閉ざしたことで、鋭敏になったわたしの感覚は、月がわたしの上に途切れることなく、冷たい光の照射を続けていることを、わたしに伝えます。


やはり、あれはわたしの夢か、錯覚だったのでしょうか?


わたしが魅かれた、皎、という存在は。
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