王国ファンタジア【戦場の民】

「――…しっかし、この毒気はちと厄介だな」


その場に居た一人が言う。
 確かにその魔物の口からはただならぬ量の毒気が漏れており、これ以上近づくと毒気にやられて身体が動かなくなる事は避けられそうになかった。


《ウガガ…》

「ヤバッ」

 魔物を取り囲んでいた影の幾つかが散った。
さっきまで止まっていた魔物が動くの察したからだ。

その予測通り、魔物は顔の向きを変えるとゆっくり移動を始める。

「どーするよ?これ!」

「やはりここは長距離攻撃で攻めるしかないな」

「…そーだな」

この言葉を合図に影たちは、一斉に武器を構えようとした――まさにその時だった。
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