my catty girl~もし私がネコになっても~
「デートの相手、学なんです」
「…え?」
顔が引きつった。
「ちょ…っと待って、長谷川くんは明日はバイトだって…」
「そんなの嘘に決まってるじゃないですか」
麻美はとても冷たい口調で春乃の言葉を遮った。学は確かにバイトだと言っていた。
「あのね、先輩」
嫌だ
「私ね」
嫌だ…
「キス、しちゃったんです。さっき、彼と」
……。
「先輩って別に学と付き合ってる訳じゃないですよね?だから…いいですよね」
そう言って微笑むと、麻美は春乃の横をすり抜け、靴を履きかえると校舎から出ていった。
目の前がぐらぐらする。
…嘘だ……
嘘…
だけど…
そういう事もあるんじゃないかって思ってた。さっき学と彼女が親しげに話してるのを遠くから見た時だって
私は…
不安だった…
自信がなかった。
だって私には人より優れた魅力なんか無い。
彼が私より彼女を選ぶ事があったって何の不思議もない。
「…帰んなきゃ」
呟いた。自分の為に。
帰って…着替えなきゃ…
とりあえず
春乃は大きくついたため息を吸いなおして、一気に駆け出した。