my catty girl~もし私がネコになっても~
―時刻は夕方、6時11分。
春乃は約束の時間ちょうどに着いていた。彼はまだ来ない。
私よりきっと先に来てるだろうって思ってた…
期待してバカみたい。
彼を待つ時間が1秒、また1秒と過ぎるたび、さっきの会話が反芻されてつらくなる。
デートの相手、学なんです
付き合ってる訳じゃないですよね
キス、しちゃったんです。さっき、彼と
だからいいですよね―。
「はーるのっ!」
水色のネルシャツに着替えた学が手を振って駆け寄ってくる。
「あ…」
どうしよう…まだ心の準備もできてないのに…どう接したらいいのかわからないよ…
だけど
「来てくれたんだね」
無意識に出た言葉だった
「…春乃?どうかした?何かあった?」
心配そうに窺ってくる。
「…ううん。別に何でもないよ」
「そう?…あぁ…ごめんなぁ、遅くなって!絵を探すのが思ったより長引いちゃって…用意するのも遅れちゃって」
「ううん、いいよ。大変だったみたいだね。お疲れ様」
「春乃もね」
本当にそう…
今日なんて授業なかったのに普段よりも疲れた。だけど…
「なんか元気出てきたぁ」
学といると、学の顔を見ると、いつもそう。ほっとするんだ…。
「じゃあ、いこっか」
学が優しく微笑んだ。