追憶 ―箱庭の境界―
夕刻時の謁見の時間を過ぎると、私は再びリフィル様を部屋に返し、彼女と仔猫との会話に耳を傾けていた。
私が閉じ込めた鳥籠。
リフィル様がリザ以外の者と自分の意思で会話をする事は、あれ以来なかった。
まるで、ずっと誰かに聞いて欲しかったかの様に、普段はリザにも明かさない心の内を話し始めた。
私が聞いている事は解っているのに、私にわざと聞かせるかの様に…。
「私ね…何度も何度も命を絶とうと思ったわ…。だけど、国の将来が心配でね…、私が悪化させているのは分かっているのに…」
「私が…マルクを信じたばっかりに…。私は…、信じていたのに…。」
えぇ、私も信じていました。
あの日の、
あの幼い約束を。
「マルク…、可哀想な人…」
彼女は、
最後は独り言のように呟いた。
……可哀想…?
「…わ…私を、哀れむのですか…、貴女が!…貴女が!?」
自室に籠り、拳を強く握ると、
食い込んだ爪の先で、
掌に血が滲む。
「…裏切ったのは、貴女だ…」
叶わぬ愛は、憎しみに変わる。