Salvation 〜救い〜
「トシっ!トシっ!もういいって言ってんだろぉっ!!!」

横井が必死になって

トシキを後ろからはがい締めしている。



霧が少しずつ晴れていくように

トシキの視界がクリアになってくる。



うん? 



あれ?


ここはどこだっけ・・・。



後ろの声は・・・シュンちゃん・・・。



俺・・・何してんだ・・・。



あれ・・・この倒れてるの・・・誰だっけ・・・。



「トシっ!聞こえてんのかぁっ!」

横井が耳元で叫ぶ。



その声で記憶が戻ってきた。



そうか。



シュンちゃんと一緒に坂口のいる部屋に・・・。



「もう大丈夫・・・です。横井さん。」



「おいおい、マジで死んぢまうとこだったよ。」


「すみません・・・・。」



「まぁ、しかし結果オーライだろ。こいつもこんなもの振りまわしやがって・・・。」

横井は刃渡りの大きなナイフを蹴っ飛ばした。



青野はトシキが正気に戻ったのを確認して

坂口を持ってきていたヒモでしばり始めた。



まだ肩で息をしているトシキ。



ハーハー ゼーゼー



部屋中に荒い呼吸音がひびく。



「まぁ、座れや、トシ。」



横井に言われて

ソファに腰をおろした。



俺・・・。



やっぱこの発作から逃げられないのかな・・・。



最近出なくなったと思ってたのに・・・。



自分の考えに沈みこんでいくトシキ。



その姿を

満足げに見つめる

横井だった。
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