なんでも屋 神…第一幕
「いえ、探して貰いたいのは娘なんです。」



成る程、家出か。



「分かりました。娘さんが家を出ていったのは何時頃の話しなんですか?」



桂子さんは涙を堪えながら、少しずつ娘の事を話し出した。



娘の名前は一葉(かずは)。中学二年になってから先輩の影響でグレ始めたという。世間的に見れば良く有る話し。



其れまでも一週間や二週間ぐらい帰らなかった時は有ったらしいが、今回は二ヶ月程家に顔は見せていない。



他の興信所でも探せたが、娘と歳の近い俺と、同じビルで働いているという考えからウチに来たんだろう。



「では、その写真のコピーを撮らせて頂いたら依頼開始と言う事で宜しいですか?」



桂子さんは強い顔で必死に頷き返してきたので、俺は近い内に連絡しますと言って、免許証のコピーとその裏に携帯の番号を書いて貰って初依頼を受けた。



桂子さんが事務所を出てから、俺は携帯のメモリーの中から一つの番号を選択して電話を掛けた。
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