なんでも屋 神…第一幕
［なんでも屋　神］初の依頼は、目の前に座っている女性からのものとなった。



渡瀬桂子さん３８歳。五つ上の旦那さんと、今年１４歳の中学二年生になる娘との三人暮らしで、共稼ぎをして何とか生活をしているらしい。



何を隠そうこの桂子さんは、このビルの二階に有る［足立生命］と言う保険会社の事務をしている…まぁそれも聞いて分かった事だが。



「依頼したいのは人探しなんです。」



言いづらそうに黒のタイトスカートをギュッと強く握り、俯いて暫く黙りこくってしまった。



「え〜と、その探したい人の手掛かりとか、写真とかは御座いますでしょうか？」



俺の言葉に反応して、横に置いているハンドバックの中から、使い古した定期入れを出して俺に手渡した。



「あの、お幸せな家庭と言うのは分かりましたので…。」



俺が手渡された定期入れの中には、祝中学校入学式という看板の脇に家族三人で並んでいる、絵に描いたような幸せな家族の写真がある。
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表紙・目次

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