なんでも屋 神…第一幕
「何だこれ！おいおい神。こんな女俺の専門外だぞ。」



確かにヒロが毎日何十人と声を掛けている、半分裸のような服を着て、ファッション感覚でワンポイントのタトゥーを入れているような女には見えない写真。



「だけどこの街で彷徨っているのは確かだ。何か無いか思い出してくれ。」



俺の言葉を受けて、ヒロは一度投げ出した写真のコピーを舐めるように見始めた。



テーブルの上では、無造作に置かれたブレンドが次第に冷めていく。



それを横目にタバコに火を付ける。



「…あ！ん〜でもなぁ…イヤ、間違いないな。この女声掛けた事が有る。」



ヒロの話しでは、くっきりと少し吊り上がったアーモンド型の目と、左の顎にある小さなホクロに見覚えが在るらしい。



俺はヒロに何処で見たのかを聞き出し、感謝して店を出ようかと思ったのだが、ヒロがどうしても付いてくると言うので、冷めたブレンドを一気に飲み干して店を出た。



「ほら、多分あれだ。」


深夜になるまで待ってヒロと出掛けたのは、この街唯一のナンパスポット兼、ヒロの仕事場でもあるメインストリート。



ヒロが遠くに屯しているグループの中に居た、女の一人を指さして俺に教える。
< 12 / 309 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop