なんでも屋 神…第一幕
奏に話しを聞かれても困るので、小龍に耳打ちしようと近づくと、右側の部屋からアメフト選手のような大男が飛び出してきた。



小龍が怒鳴り声をあげて大男を制し、俺の方に向き直る。



「馬鹿が勘違いしてすみません。神さんを敵だと思ったようで…あれはボディーガードです。それでお話しと言うのは?」



大男は壁際に張り付いたように立ち尽くし、俺の姿を険しい顔で睨みつける。もう右手に握られた青竜刀を隠す事はしない。



「[神堂組]がキタサンのブツを奪われた話しは知ってるな?その仲介をしたチャイニーズマフィアの事を知りたい。」



「…その話しは聞いてます。調べたら連絡しますよ。」



小龍から身体を離し、元の立ち位置に戻る。後ろを見ると、奏が大男に対し身構えている。



「いやぁ〜、神さんが帰ってきてくれて嬉しいです。私にとって神さんは日本の兄のような存在ですからね。」



濃紺のシンプルなスーツを着こなす小龍。昔ならそんな事言われたら軽く小突いたりもしたが、今そんな事したら生死に関わるな…。
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