なんでも屋 神…第一幕
タクシーを降りた先は、この間訪れた時と変わらず、美しい庭園をその瞳で、醸し出す雰囲気で楽しませてくれる[白桜]。



年代物の建具を開けると、艶っぽい女将さんが迎えてくれた。



「急なお願いで申し訳ありません。黒沢でさっき予約を入れたと思いますが…。」



鹿の親子が描かれていた屏風は取り払われ、雄大な富士山麓が描かれている屏風が飾られていた。



「お待ちしておりました。どうぞ此方へ。」



細長い廊下を白梅香の匂いを残しながら、この間とは逆に歩いていく女将。



通されたのは[松の間]。その名の通り、奥には壮大な一本松の掛け軸。



松の敵討ちを始めるなら、これ以上は無い部屋。俺と[住谷組]の私怨も一緒なのが、松に申し訳ないきもするが…。



真美と松の敵…両方私怨だが、俺の気持ちの入り方が微妙に変わる。



どちらが上も下も無い。俺にとっては、二人共掛け替えの無い存在だった。
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