なんでも屋 神…第一幕
「バカ、あのメインには居なそうな感じが良いんだよ。仕事熱心って言ってくれ。」



辛うじて動く右手でタバコを吸っているヒロ。悪びれた様子は微塵も無い。



そんな二人を見て笑ってしまう俺に、釣られて笑い出す他のメンバー。



「お前等は誰にやられたんだ?」



冗談が一段落した所で、漸く本題を切り出した。赤いソファには、昨日来れなかったカズと、まだ立ち直れない卓真が二人で肩を落としていた。



「ヤクザ者だってのは分かったけど、何処の組かまでは分からなかったな。なんせ八人の本職に囲まれたんだ。流石の俺と奏だって無理だったよ。」



ヒロの答えに瞳だけ上下させて頷く奏。これで最後のピースが填められ、仮定のパズルが完成した。



…例え何処か間違っていても、此方には証拠が有る。



望み通りの答えを貰い、謎が解けた気持ちとは裏腹に重くなる足取り。
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