なんでも屋 神…第一幕
「醜い面して喚くな。直に親不孝な舎弟共が来るさ。」



俺はこの工場に着いてからスイッチが入り、あの時の事を鮮明に思い出し、憤怒の化身と化していた。



表情等は消え去り、冷徹な瞳で仙海を見下ろす。兄ぃも無機質なガラス玉の瞳で、仙海の弛んだ腹に蹴りを見舞う。



猿轡をされた口の端から、呻き声と透明な液を垂れ流す仙海。組長の座に収まって楽を覚え、弛んだのは腹だけで無く、人間そのもののようだ。



その光景を、血で黒く汚れたような目でほくそ笑む小龍と陳…此処にも冷酷な獣が二匹。



「お宅等がくだらない事を考えるから、こんな事になったんだよ。」



今日の午前中、何時ものように[三谷組]の事務所に現れた所を、赤城を始めとする兄ぃの子飼いが仙海を拉致した。



組長の中にはその座に収まると、滅多な事では事務所に顔を出さない者と、サラリーマンのように決まった時間に事務所を訪れる者が居る。仙海は後者だった。



「な…何の事だ!儂は何も知らん![神堂組]に喧嘩なんか売った覚えは無い!」
< 267 / 309 >

この作品をシェア

pagetop