なんでも屋 神…第一幕
猿轡を外した兄ぃと、目だけで笑みを交換する…此処までは読み通り。



「殺るんなら、ウチの陳が綺麗に首を飛ばして見せますよ。」



175センチ程ある小龍を、軽く見下ろせる大柄な陳。小龍の言葉に口元を上に吊り上げ、不気味な笑みで青竜刀の刃を指でなぞる。



「まぁ待て。役者がまだ来ない。」



[三谷組]には、先程兄ぃから電話をしておいた。ヤクザ社会でも類を見ない組長の誘拐。殺すだけなら事務所前で弾けばいい。



兄ぃが腕に付けたピアジェ・タナグラの文字盤に視線を落とし、目で俺に合図を送る。そろそろだ。



それを見計らったように、遙か正面に見える黒い鉄の引き戸が開かれ、[三谷組]の面々が現れた。



「親父ー!無事でしたか親父![神堂組]はウチに喧嘩売ってんのか?あぁ黒沢!」



財津を先頭にして、扇形に広がりながら歩いてくる組員達は、全部で八人。
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