なんでも屋 神…第一幕
最近はホームレスでも、小さな集団の長ぐらいになると、プリペイド式や飛ばしの携帯ぐらいは持っている。



首の下まで白髭と黒の髭を伸ばしたおじさんに礼を言って、真ん中にある滑り台に寄りかかって大さんが来るのを待った。



「おぉ〜、本当に神くんじゃないか。外国から戻ってきたのかね?」



遠くの方から、150センチも無いギリギリまで痩せ細った老人が、背筋をピンと伸ばし、左手にあまり入っていない一升瓶をぶら下げ、折れそうな右手を一生懸命振りながら此方に向かって歩いてくる。



力を込めると折れそうなので、軽く握手を交わした。



大さんと知り合ったのは俺が高校二年の頃。ホームレス狩りをしていた同じ高校の後輩と、その仲間を袋にして大さんの前に連れて行った事から始まった。



大さん達にとって、若者の暇つぶしや不満の矛先に向けられる事の多いホームレス狩りは、生死に関わる大切な問題なのだ。



保険証も無い彼等は医者にも行けず、怪我をしたら働く事も出来ない。その先に待つのは確実な死のみ。



大さんはこの公園に住む、百人から居るホームレスの長で、他のホームレスグループにも顔が利く存在だ。
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