なんでも屋 神…第一幕
沸き立つ[三谷組]とは対照的に、通夜のように肩を落とすノリの姿。



先程までとは打って変わり、凶人のような笑みを見せる相馬。



「此処で止めてやってもいいんだぞ…なんて言うか馬鹿が。さっさと引き金を引け、そして死んで罪を償え!」



死など恐れてはいない…寧ろ死を望んでいる自分が居る。真美の側に行けるなら、其処で…真美の傍らで償いたい…。



工場内に木霊しているであろう怒声や罵声…絶叫に悲鳴。その全てが聞こえなく、無音の空間に佇んでいるかのようだ。



漆黒の銃口の中には見い出せない希望の光。空虚の中を彷徨う死への希望…その光は漆黒。



前髪は汗で額に張り付き、首筋に流れ出す冷たい汗。



命懸けのショーを冷眼で見つめる兄ぃと神堂。その奥に潜む笑みを、俺は見逃さなかった…。
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